WALK (40/☆)

web拍手 by FC2        
旧ブログからの引越し作品になります。
以前の更新時のままの文章です。誤字脱字等直していません。
再Upさせて頂きました。
少しでもお楽しみ頂ければ嬉しく思います┏O))
*********************************************
…… 温いですが性描写あり。閲覧にはご注意を!


年齢その他OKな方は
「 続きを読む 」 からどうぞ♪

続きを読む >>

at 00:00, , 【 WALK 】

comments(14), -, - -

WALK (39)

web拍手 by FC2        
「ああそうだ、お前が酔っ払う前に渡しとくか」

笑いを噛み殺した当真が徐に立ち上がった。サイドボードの引き出しを開けて取り出した何かを、手の平に隠した状態で戻って来る。

「お前の事だから、物をやってもどうせ喜ばねえだろ? だからまあ、俺からのプレゼントは今日の料理と酒、それと……コレな」
「え……ぁ――」
「言っとくけど、ワインは一応ヴィンテージだぞ?」

俺達の生まれ年に作られたヤツだ、と言ってニヤリと笑った当真の言葉が素通りしていくほど、片山の意識は手に握らされた硬い感触へと向けられていた。

「やるタイミング逃がしちまってたからな……次からは、それで開けて入って来い」
「と…ま……サ、サンキュ――」
「くくッ――お前の照れた顔も、悪くねぇな。なかなかそそる」
「ッ、照れてなんてねえよっ!」

赤くなった頬を指の背でスルリと撫で上げられ、余計に顔が火照ってしまう。
逃れるように顔を背けた片山は、放り投げていたジャケットを引寄せると、家の鍵やバイト先のロッカーの鍵などをまとめているキーケースを取り出し、渡されたばかりの真新しい一本を空いているスペースへと忍ばせた。
大切そうにキーケースを閉じた片山を見る当真の瞳は優しくて。
一部始終を見つめられていた事に感じた羞恥を隠すように、片山は乱雑にケースをジャケットのポケットに押し込んだ。その瞬間、指に触れた包みの存在。

「あ、そうだ。俺もお前にやるもんあったんだった」

取り出した包みを当真へと押し付ければ、一瞬驚きの色を瞳に乗せた当真が、珍しく躊躇うように片山へと視線を寄越す。

「俺に? ――開けていいか?」
「おう、開けてみろよ」

多少の緊張を感じつつ促せば、当真の綺麗な指先が、小振りの箱を包むラッピングをゆっくりと解いていく。

「へ…ぇ……いいな、コレ」
「だろっ? ぜってえお前好みだと思ったんだんだよな」
「sense of fun、か――イッキがこのブランド知ってるとは思わなかった……ありがとな」
「へへ、まあ俺だってそん位知ってるっての」

箱の中に納められていたのは、一本の携帯ストラップ。
学食で祐希の携帯に付いていたストラップを見た瞬間、コレだと思った。シンプルでありながら品があり、品があるのに落ち着き過ぎの感も無いそれに目を奪われた。

『それっ、何処で売ってんですか? 幾ら位するんですか?』
『え? ああ、ストラップ? これは誕生日に2番目の兄貴がプレゼントしてくれた物なんだ。だから値段は良く分からないけど…sense of funっていう日本ブランドで出してるやつだよ』

あんまりメジャーなブランドじゃ無いんだけど、と言って微笑んだ祐希から場所を聞き出した片山は、翌日には目当ての品を求めてその店へと買いに走った。

緊張しながら飛び込んだ店の中、ショーケースに並べられていた数種類のストラップ。
その中で目に留まった一本。
濃い茶の皮で作られた持ち手は輪を作っており、表面には型押しで小さな雪の結晶がワンポイントで入っていた。持ち手の先には燻し銀で作られた同じ雪の結晶が取り付けられ、携帯へと通す紐部分の変わりに付いていたのは、極細のシルバーチェーン。
これなら当真も気にいる筈と、即決で購入して来た一品への予想通りの反応に、片山は得意気な笑みを唇へと乗せた。

「一輝――」
「っん……ぅ」

不意に首の後ろに回された手に引寄せられ、笑みの浮いていた唇を塞がれる。ワインの香りを残したくちづけに、アルコール以上に酔わされてしまいそうで。
一頻り片山の口腔を蹂躙すると、官能的な厚みのある唇が名残を惜しむように、軽く下唇を食んで離れていく。濡れて淫靡な光を纏うその唇へと吸い寄せられるように、片山は潤んだ眼差しを寄せた。

「物足りねえって顔しやがって……続きは、後でたっぷりしてやるよ」

色の滲んだ口角を持ち上げた当真が艶然と微笑む。離れ際に項をスルリと撫で上げられた片山は、赤くなった顔を隠す事も出来ないまま、目の前の料理へと箸を伸ばすのだった。



← 38 Back ★ Next 40(☆) →

◆いつも応援ありがとうございます゜+.゜.(⊃Д`*)゜+.゜

旧ブログからの引越し作品になります。
以前の更新時のままの文章です。誤字脱字等直していません。
再Upさせて頂きました。
少しでもお楽しみ頂ければ嬉しく思います┏O))
*********************************************
 この記事で「777」記事目を迎えました(*´∀`*)
 こんなに多くの記事を更新して来れたのも、読みに来て下さる
 皆さまの応援あってこそと嬉しく思います゜+.゜.(⊃Д`*)゜+.゜
 この先も細々続けていければなぁと思っていますので
 息子達共々、構ってやって頂けましたら幸いです(*・ω・)*_ _)ペコリ

 さて、ボチボチ……ですかな?
 続きが気になる方は、そろそろ筆が重くなりそうな作者へ励ましを!(平伏

にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ 小説ブログ BL小説
  ↑ 
ランキング参加中、その一押しが励みになります。(1日1回有効です♪)
書き続ける原動力に繋がっております!読了後、お気に召したらポチッと一押しお願いします!

JUGEMテーマ:JUNE/BL/ML


at 00:00, , 【 WALK 】

comments(18), -, - -

WALK (38)

web拍手 by FC2        
電車に揺られて目的の駅へ。改札を出れば直ぐに見える高層マンション。
冬の夜にしては温かな日で、残念ながら空からサンタのプレゼントが舞い降りてくる気配は感じない。それが少し残念なような気もする、クリスマスイヴ。

『たまにはめかし込んで、どっか外で食うか?』
『ふざけんな、男同士でわざわざそんな日に……それに俺、入学式に来たスーツ以外で小洒落た服なんて持ってねえし』
『くく、言うと思った。そんなに2人きりで居たいのか?』
『なっ、何言ってんだ! んな訳あるかっ!』
『イッキがそこまで言うんじゃ仕方ねえな。そんじゃ、俺が腕によりを掛けてご馳走作ってやんよ』

そんな約束を交わしたのは、一週間ほど前。
今日はバイトも早番にしてもらった片山が、逸る気持ちを抑えながら通い慣れた道を歩く。
今年の冬の買い替えを断念した少し草臥れたファー付きのダウンジャケット。そのポケットに忍ばせた包みの存在に、気にするまいと思いつつも意識が向いてしまう。

好きな相手へと贈るプレゼントを選ぶ。

これまで付き合って来た女性に、強請られてプレゼントを買ってやった事はあったけれど、買い物に付き合わされるのも面倒で、義理で金だけ出しているような感覚がずっと付いて回っていた。
それが今回はどうだ、と自問自答して苦笑が浮かぶ。
何をあげれば喜んで貰えるのかと悩みながらのプレゼント探しは、正直大変な作業ではあったけれど、それがこんなにわくわくと心が弾むものだという事を、片山は初めて知った。

『――はい』
「あ、俺。着いた」
『今開ける、玄関も開錠しとくから勝手に入って来い』
「了解」

手短な遣り取りの後、オートロックの自動ドアが開く。
初めてこのマンションに訪れた時には、オートロックがどういったものなのかさえ良く分かっていなかったのに、こんな遣り取りにもすっかり馴染んでしまっている自分に改めて気付く。まるで自分の家に帰って来るような感覚が、なんだか擽ったい気分にさせてくれて。

(ちっくしょ、俺……メッチャ恋しちゃってんじゃんか)

悔しいけれど、そんな自分が決して嫌ではなくて。
言われた通り開いていた玄関から中へ入れば、腹の虫が騒ぎ出すような美味しそうな香りが立ち込めていた。

「当真? ――うっわ、すげ……何コレ」
「ああ、来たか。もうちょい待ってろ、もう直ぐ終わる」

洒落た料理なんて口にした事の無い片山には料理名までは分からなかったけれど、サラダやステーキ、パスタに一口サイズのミニピザ、そして小振りのホールケーキ。
リビングのローテーブルの上には、所狭しと皿が並べられていた。

自宅アパートには畳の部屋しか無い片山は、どうしてもダイニングテーブルでの食事は堅苦しくて得意じゃない。いつの頃からかそれを察したらしい当真は、こうして直接床に座れるローテーブルを食事の場へと変えてくれていた。
そんな些細な心遣いも、自分が大事にされている証拠のようで、片山には嬉しかった。

「たまにはワインも良いだろ?」
「ああ、何でもいいよ」

その辺のコンビニやスーパーでは見掛けた事の無いワインボトル。恐らく高い物なのだろう深い色味の赤が、準備されたグラスへと注がれていく。

「メリークリスマス」
「お、おぅ……メリー、クリスマス」

綺麗な音を響かせてグラスを合わせ、ひと口含んだ途端に広がる芳醇な香り。

「うっめぇ」

目を瞠った片山から思わず飛び出した言葉と満面の笑みに、当真は面白そうに喉奥で笑いを噛み殺していた。



← 37 Back ★ Next 39 →

◆いつも応援ありがとうございます゜+.゜.(⊃Д`*)゜+.゜

旧ブログからの引越し作品になります。
以前の更新時のままの文章です。誤字脱字等直していません。
再Upさせて頂きました。
少しでもお楽しみ頂ければ嬉しく思います┏O))
*********************************************
 次話はいよいよプレゼント交換? 

 プレゼントが何なのか気になるーー! と言う方は
 眠気に負けそうな作者を叱咤してやって下さい(ペコリ

にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ 小説ブログ BL小説
  ↑ 
ランキング参加中、その一押しが励みになります。(1日1回有効です♪)
書き続ける原動力に繋がっております!読了後、お気に召したらポチッと一押しお願いします!

JUGEMテーマ:JUNE/BL/ML


at 00:00, , 【 WALK 】

comments(12), -, - -

WALK (37)

web拍手 by FC2        
ざわざわとした喧騒が広がる食堂スペースの片隅。窓辺の席で、片山は拝むような仕草で目の前の男を見上げた。
そんな片山の行動に一瞬片眉を上げた男は、次に探るような眼差しで片山を眺める。意味深なその目線にいらぬ事まで見透かされているような心地悪さを感じながらも、片山は黙って返事を待った。

「ふーん、プレゼントねぇ……」
「そ、そうだよっ、悪いか! お前だったら何貰ったら嬉しい?」
「俺はまあ、物っていうより――欲しいのは決まってるんだけどね」
「……ああそうかよ、そうだよな。お前に聞いた俺がバカだった」
「はは、悪い悪い、冗談だって」

当真との関係性に唯一気付いているらしい大沼に対して、片山が相談を持ち掛けたのは翌日の昼休み。
思い立ったら即行動あるのみ、と思ってはいたものの、切り出すタイミングがなかなか掴めないまま食事は終わってしまい。内心どうしたものかと思い悩んでいたその時、食事をペロリと平らげ 「やっぱりデザートも食いたい」 と騒ぎ出した敦が、席を外した。その隙を狙って、意を決してこっそりと。
けれど、恥ずかしさを堪えての問い掛けに対する大沼の返答は期待に副うようなものでは到底無くて。
片山は思わずテーブルの上に上半身を凭れ掛けさせるようにしながら、ガックリと項垂れた。

「いや……本当悪い。ほら、敦ってああだし、俺らって母親の腹の中にいた頃からの付き合いだから、あんまり物の遣り取りってしてないんだ」
「いいって、気にすんな……それに、アイツは物貰うよりケーキをホールでやったりとかの方が喜びそうだもんな」
「はは、それいいな! 今回はそれにしようかな?」
「いーよなぁ、楽で」

起こした頭を頬杖を付いて支えた片山は、手元の缶コーヒーを揺らしながら、隼弥の視線の先を見るとも無しに追う。その先には、お目当てのスイーツをゲットしてニコニコしながら此方へと戻って来る敦の姿があった。

「――あれ? こんな時期に、珍しいな」
「んぁ? ああ、あれって……」
「こっちこっち! ここ空いてるよ!」
「あ、こんにちは。ごめんね、一緒させてもらって良いかな?」
「今日はどうしたんですか? 今時期ってもう講義も無いんじゃ?」
「卒論出しに来たんだってー。隼弥、コレ買って貰っちゃった!」
「敦…お前は全く……すみません、祐希さん」
「俺も自分が食べたかったから、そのついでだし」

敦が引き連れて戻って来たのは、いつだったか構内でじゃれ付いていたふんわりとした笑顔の彼だった。
デザートを前に悩みまくっていたらしい敦は、買ってもらったというプリンと自分で買ったチョコ菓子を手に、ご機嫌な様子で大沼の隣へと腰を下ろした。
必然的に片山の隣へと腰を下ろした祐希が、そんな光景を見てくすりと微笑む。

「今日は一緒じゃないんですか?」
「うん、俺は年明けから短期留学に出るから、早めに提出しとこうと思って。達也は資料探しに図書館行ってるよ」
「終わったら連絡来るんだってさ」
「そうだ、場所メールしておかなくちゃ」

なるほど、言われて見れば大抵一緒にいる背の高い男の姿が今日は見当たらない。
大沼の問いに答えた祐希が取り出した携帯に、辺りを窺っていた片山の視線が吸い寄せられた。

「あっ! そ、それっ!」
「おわっ、ビックリさせんなよ、イッキ!」
「え? え、何?」

突然声を張り上げた片山に驚いた祐希が、ビクリと身を竦ませながら片山を見遣る。
片山の目が捉えていたのは、携帯からプラリと揺れ下がる1本のストラップだった。



← 36 Back ★ Next 38 →

◆いつも応援ありがとうございます゜+.゜.(⊃Д`*)゜+.゜

旧ブログからの引越し作品になります。
以前の更新時のままの文章です。誤字脱字等直していません。
再Upさせて頂きました。
少しでもお楽しみ頂ければ嬉しく思います┏O))
*********************************************
 イッキが目星を付けたのは……?
 俺様登場はまだか? 


にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ 小説ブログ BL小説
  ↑ 
ランキング参加中、その一押しが励みになります。(1日1回有効です♪)
書き続ける原動力に繋がっております!読了後、お気に召したらポチッと一押しお願いします!

JUGEMテーマ:JUNE/BL/ML


at 00:00, , 【 WALK 】

comments(18), -, - -

WALK (36)

web拍手 by FC2        
旧ブログからの引越し作品になります。
以前の更新時のままの文章です。誤字脱字等直していません。
再Upさせて頂きました。
少しでもお楽しみ頂ければ嬉しく思います┏O))
*********************************************
大変長らくお待たせ致しました!
スイマセンスイマセン(_ _(--;(_ _(--; ペコペコ

年末までには終わらせたい…とか言っておきながら、既に2月末(汗
まだまだ終わりが見えない今作。
再びのんびり更新にてまったりと再開致しますので
お付き合い頂けましたら幸いです(*・ω・)*_ _)ペコリ

話忘れちゃったよ(怒`・ω・´)ムキッ 
と仰る方はコチラ ⇒ 【 WALK 目次 】

大丈夫よ(*・ω−)b!という方は 「続きを読む」 からどうぞ。

続きを読む >>

at 00:00, , 【 WALK 】

comments(12), -, - -