オリジナルのBL小説を、気の向くままに綴っております。個人的趣味嗜好ですので、誹謗中傷は受け付けておりません。
ご賛同&ご理解頂ける大人の方のみお立ち寄り下さい。
また、小説内の表現のひとつとして、性的描写等も出て参りますので、閲覧は自己責任にてお願い致します。
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虎が愛でし一輪の花 【目次】
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【 虎が愛でし一輪の花 】 (2014.06.20〜10.11)

 ★ 山牙 琥珀(サンガ コハク)×柴山 吾郎(シバヤマ ゴロウ)
   (ファンタジー・獣耳・温和な虎×ツンデレワンコ)
   「孤狼〜」スピンオフ。病弱な双子の弟を持つ吾郎は、幼い頃から
    我慢することが日常だった。弱音も吐けず過ごす日々の中、唯一吾郎を気に掛けて
    くれた年上の幼馴染の琥珀。吾郎を見守り続ける琥珀と素直になれない吾郎との
    恋を、弟も密かに応援していた。すれ違う二人は幸せを掴めるのか。


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 (41/☆☆) / (42/☆☆) / (43)




■□■ 関連作品 ■□■

孤狼に愛の花束を 】 (2012.09.02〜2013.02.02)

クローバーの幸せを (2014.10.22)



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【虎が愛でし一輪の花】 comments(0) trackbacks(0)
虎が愛でし一輪の花(1)
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   大嫌いで けれど大好きな 
   憎くって けれど大切な 
   切っても切り離せない関係は
   温かく そして 苦しさも感じさせる


 重苦しい曇天の空を見上げて、瞬きをひとつ。薄っすらと曇った窓ガラスに、外との気温差を思い描く。

(冬が近いな――)

 戸締りを確認しながら、大きな書棚の間をゆっくりと歩く。古臭い紙の匂い、大小様々な多数の本に囲まれた空間は、心を落ち着かせてくれる。ここは僕の職場でもある図書室。専門学校の中に作られていて、この町で唯一の図書館の役目を担っている。
 町と言っても、一般的な町とは違って、とある理由で外界から遮断された集落だ。
 え? そのとある理由が何なのかを知りたいって?それは……。


「本当だったら、今頃は人間界で暮らしてたはずなのに……」
「そういうことは公共の場で耳と尻尾を隠していられるようになってから言うんだな」
「っ! びっくりしたぁ、脅かさないでよゴローちゃん」

 これが、その理由。掛けられた声に驚いたのだろう。茶色の三角耳とくるりと丸まった尻尾の毛が、ものすごい勢いで膨らんだ。
 僕にそっくりな顔に見上げられ、呆れた眼差しを返す。兄弟の中で誰よりも僕に良く似た、双子の弟。僕と同じ顔をしているはずなのに、どこか幼さを残す容姿とくるくる変わる表情、寝癖が付いているかのようなくせっ毛が、僕には無い愛嬌を感じさせる。

「逆毛立ってる……」
「う、うっさいなっ!」

 そう、この集落で暮らす僕らは、簡単に言ってしまえば人間のようでいて、人間では無い存在。進化の過程で動物と人間のどちらの性質も兼ね備えた、獣人と呼ばれる生き物だ。そしてこの集落は、人間と同じ暮らしぶりを求めて、獣人達が生活している閉塞的な場所。
 人間界とこの集落とを繋ぐのは、町外れにある古い石造りのトンネルのみ。人間界側には鳥居と神社があり、トンネル自体は結界が張られているため、通常の人間には見えないように出来ているらしい。
 獣人というと怖いイメージもあるかもしれないけれど、変化出来ることやそれぞれの持つ特色に焦点を当てさえしなければ、普段は人と変わりは無い。獣人であることを隠して人間界で暮らす仲間も多い。
 けれど中には、人間界に馴染めなかった獣人達もいる。若しくは罰則を破り、強制的に集落へ連れ戻される輩もいるらしい。

 閉塞的とはいっても、人間の暮らす町と大差は無い。幼稚園もあれば、小学生から高校生までの年頃の生徒が通う学び舎を兼ねた施設と、外の世界でいうところの専門学校のような場所もある。そこで子供達は人間界で生活していくために必要な知識や所作、人間達と同等の学力を身に付けるべく授業を受けるのだ。
 規模は大きく無いものの、スーパーもあれば商店街もある。ちょっとしたご飯屋さんや衣料品店もあるから、暮らす上ではそう不自由なこともない。人間界でも田舎の方へ行けば、多分この町と似たり寄ったりなのでは無いだろうか。
 そんな獣人達の生活を守るための結界は、トンネルを基準に森を取り囲むようにぐるりと張り巡らされていて、人間の目から僕らの集落を隠してくれている。さすがに森を越えて外界へ行こうとする者はおらず、人間界へ向かうにはトンネルを通るしかないのが現状だ。

 この集落で僕らは育った。一度人間界へと出た僕からすれば、ちょっぴり息苦しさを感じるけれど、それでもやっぱり安心出来る場所には違いない。


「全く小太郎と来たら……耳出してるくせに物音にも気付かなきゃ、僕の匂いも感じないなんて……情けないったらありゃしない」
「うぅ――――」
「まあ、そんなところも可愛くて甘やかしちゃう僕も悪いんだけど」

 柴山吾郎、それが僕の名前。そして僕にとって何よりも大切なたった一人の弟が、この少しばかり子供っぽい小太郎だ。
 目線の下で椅子に座ったまま項垂れる小太郎の、しょげ返った三角の耳を、癖のある髪と共にわしゃわしゃと撫で回す。

「またその絵本見てたのか? 好きだねえ」
「いいだろ別にっ」

 手元を覗き込めば、小太郎は慌てて開いていた絵本を閉じた。



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◆いつも応援ありがとうございます(*´∀`*)

お知らせ記事に沢山のご反応ありがとうございました!
10か月ぶり?とかになるのかな?長期連載て……今更の出戻り感が
ものすごくあるわけですが……皆様に受け入れて頂けてとても
幸せです゜+.゜.(⊃Д`*)゜+.゜
不定期連載になりますが、お付き合いよろしくお願い致します!

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【虎が愛でし一輪の花】 comments(4) trackbacks(0)
虎が愛でし一輪の花(2)
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 人間界での年齢で言えば20歳も過ぎているというのに、未だに小太郎の宝物はこの絵本。もちろん図書室の蔵書なんかじゃない、小太郎の私物だ。時折こうして持ち歩いては、うっとりした表情で眺めているのが常。
 外の世界に憧れる気持ちは分からないでも無いけど、兄としては少々呆れても仕方ないと思う。不貞腐れた小太郎が唇を突き出すのを見て、僕は肩を竦めて返す。誰もそんなボロボロの絵本なんて取らないってば。

「いいけど……課題は終わったのか?」
「うっ」

 案の定か、これだから放っておけないんだ。
 小太郎は今、この図書室の入っている建物内にある学校に通っている。
 絵本の影響か、人一倍人間界への興味はあるようだけど、彼は完全な人型でいられる時間が極端に短い。そのせいもあって、外の世界で独り立ちには中々周囲からの許可が下りないのだ。
 集落の掟の一つに、人間界では耳や尻尾を出さないようにという決まりがある。僕やコタの種は犬、それも柴犬の家系だ。完全な獣型になっていれば、人間と接触してもばれることはないし、違和感も与えずに済むけれど、半獣の姿を見られでもすれば大変な騒動になってしまう。
 寝ている間ですらも変化をコントロール出来なければ、人間界で暮らすことは難しい。
 小太郎自身もそのことはちゃんと理解している。理解せざるを得なかったということが少しばかり不憫で、それでも憧れを捨てることなく抱いていることに、羨ましさを覚える。

「……取り敢えず帰るぞ、閉めて鍵を返却しなきゃならないんだから」
「分かってるよ、それよりゴローちゃん今日給料日だろ? オレさ、アイス食いたい」
「はあ? この寒いのにアイス?」
「角のアイスクリーム屋でさ、今トリプルキャンペーン中なんだよ?」

 目の前で鍵をチラつかせて見せれば、小太郎が慌てて帰り支度をしながらオネダリをしてくる。

(絶対確信犯だ……くそっ)

 毅然とした態度で駄目だと言おうとしたけれど、期待を籠めた視線を向けられれば頬も緩んでしまう。甘やかし過ぎだと理解はしているものの、僕も兄弟達も、小太郎のオネダリには弱いんだ。

「買ってやるけど、シングルにしとけ。腹壊すぞ」
「ちぇっ」

 小太郎も自分が周囲から甘やかされてることを分かっているに違いない。ほんのちょっぴり申し訳なさそうに瞳が揺れる。
 それでもこういったちょっとしたオネダリを止めないのは、僕ら兄弟が小太郎を甘やかすのには理由があると知っているから。庇護の対象として見られているのは、きっと彼にとって面白いことじゃないはず。けれど自分が反発したり、本当の意味での我儘を言ったら僕らが困る事を知っているから、細かな甘えを見せて来るんだろう。

「鍵置いてくるから、先に外に出てろ……ちゃんとマフラー巻いて!」
「んぶっ! ちょ……んもぅ、大丈夫だってのに」
「そんなこと言って、この間も風邪引いたばっかりだろうが」

 今までいた図書室から一歩廊下に出れば、着実に冬が近付いて来ているのが分かるほどの寒さ。僕でさえ寒く感じるっていうのに、小太郎と来たら折角持ってるマフラーも巻かずに腕に引っ掛けている。
 衝動的にマフラーを奪い取って、思い切りぐるぐると巻き付ける。うん、ダルマみたいで可愛いじゃないか。
 口を尖らせて抗議の視線を寄越す小太郎を無視して、僕は急いで事務室へと向かう。いつまでも寒い場所で小太郎を待たせちゃ可哀想だ。


 まだ残っていた講師の方に挨拶をして小走りに戻ると、ガラスの入口扉に向かって項垂れる小太郎の姿があった。

「……ちぇっ、高校生みたい」
「コタはそれでいいんだよ、可愛いし」

 何を落ち込んでいるのかと思えば。思わず笑ってしまう。
 図書室では出しっ放しになっていた耳と尻尾を引っ込めた小太郎は、同い年とは思えない可愛さだ。僕には無い素直さも、愛嬌も、見た目の小ささすらも可愛くて。

(コタはきっと、愛されるために生まれて来たんだろうな)

 僕には無いものを沢山持っている小太郎が羨ましい。双子だっていうのに、どうしてこうも違うのだろう。
 無いもの強請りだってことは分かっている。それでも、僕も小太郎のように素直に甘えることが出来たなら、多分もうちょっと生き易かっただろうと思ってしまうのだ。

「同じに生まれたのに……ゴローちゃんばっかずるい」
「まあまあ、ほら、アイス食うんだろ?」

 どうやら無いもの強請りはお互い様のようだ。



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◆いつも応援ありがとうございます(*´∀`*)

新連載への沢山のご反応ありがとうございます゜+.゜.(⊃Д`*)゜+.゜
嬉しいです〜〜!!
攻めさん出て来るの、もうちょっとかかりますがお待ちを!

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【虎が愛でし一輪の花】 comments(2) trackbacks(0)
虎が愛でし一輪の花(3)
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 僕は小太郎が羨ましくて、小太郎は僕をズルいという。誰からも愛される小太郎に、僕が勝てることなんてほんの少ししか無いっていうのに。
 ふわふわとしたくせ毛の小太郎と、ストレートでさらさらと纏まりの無い髪質の僕。身長は僕の方が10僂らい高いけど、小太郎と違って視力は悪いから眼鏡が手放せない。愛想も無ければ素直さも足りない僕。
 考えれば考えただけ、自分自身に嫌気がさす。こんな僕の方が良いなんて言ってくれるのは、きっとあの人以外にはいないだろう。
 幼い頃から僕を気に掛けてくれた、唯一無二の人。僕が甘えと我儘を口に出来る、たった一人の存在。
 そんな大切な存在を、切り捨てたのもまた、自分自身だというのに。

「アイス……せめてダブル」

 思考の淵に沈みかけていた意識が、小太郎の声に引き戻される。

「仕方ないなあ。そのかわり僕にも食べさせろよ?」
「やった!」

 ほら、やっぱり可愛い。
 こんな風に無邪気を装う小太郎に気付いているから、ついつい甘やかしてしまうんだ。僕も兄達も、小太郎が笑顔を見せてくれることがどれだけ幸せなことなのかを知っているから。

 僕らが小太郎に甘い理由、それを説明するには、僕と小太郎が生まれた時まで遡る必要がある。
 人間の世界じゃ犬は安産の神様だとか言われて有り難がられたりもしているけれど、実際はそう単純なものじゃない。人間も獣人も動物も、新しい命をこの世に送り出すのは、常に危険と隣り合わせの行為。まして僕らの家系は多産で知られる犬だけに、人型として身篭り出産を行なうというのは、考えている以上に大変なのだそうだ。
 僕達にも兄達にも、それぞれ共に育つことの叶わなかった兄弟がいる。そして小太郎もまた、今ここにこうしていることは奇跡に近い。

 さすがに記憶には無いけれど、僕と小太郎にはもう一人兄弟がいた。その子は産声を上げることもなかったらしい。僕が大声で産声を上げたのに対し、小太郎はか細い声でひと鳴きしたきり、一時は心音も止まったのだそうだ。
 僕は生まれた時から人型だったけれど、母のお腹の中でのスペース的な問題があったのか、小太郎は獣姿で生まれてきた。これはかなり珍しいことらしい。
 自分には記憶は無くとも、傍で見守っていた兄達から、今にも消えそうだった小太郎の命の話を、耳にタコができるほど聞かされながら僕は育った。家族皆が、小太郎の魂がどうにかこの世に留まってくれるように祈ったのだと。
 その想いが届いたのか、小太郎は一命を取り留めた。とはいえ、仮死状態で生まれた影響なのか、身体も決して丈夫とはいえなかった。
 何かあればすぐに高熱を出す。ご飯も量が食べられなくて、無理して食べれば吐いてしまう。だから余計に育ちも遅く、兄弟の中では今でも一番小さいのだ。
 人型で生まれて健やかに育つことの出来た僕とは違って、小太郎が人型に変化出来たのは、一歳の誕生日を間近に控えた頃だった。それも完全な人型にはなれなくて、耳と尻尾は残したままの姿。完璧に変化出来るようになったのは、実をいうとつい最近のことだったりするのだけれど、それも長時間持続させることは難しい。
 獣姿でもひと際小さい小太郎は、人型になってもやっぱり小さなままだ。獣姿に変化すれば違いは一目瞭然、小太郎だけ豆柴かと見間違うくらい体格が違う。

 小太郎はいつもニコニコしてて、本人的には元気一杯で。その笑顔が目茶苦茶可愛くて、なのに気を抜くとすぐに体調崩すから、その度に家族中がすごく心配した。お前は小太郎と違って手が掛からないから助かるよ。
 これまで何度も繰り返し聞かされてきた言葉。いつの間にか僕の中にも、その言葉は沁み付いてしまっている。
 最近では小太郎の身体も大分丈夫になったし、熱を出すのも年に数度。それでも僕ら兄弟の中では、小太郎は今でも幼い頃のままのイメージが強い。愛すべき、守るべき存在。それが小太郎なのだと。
 同じに生まれたというのに、いや、同じに生まれたからこそなのかもしれないけれど、兄弟の中で僕が一番小太郎に対して過保護だという自覚はある。
 僕達の出産で身体を壊した母が、そのまま寝付いて早くに亡くなったせいもあるのだろうけれど、僕は小太郎を大切にしなければいけないのだと、それが僕に課せられた人生の命題なのだと思っているから。

「……こんなに違うんだもんなあ」
「何か言ったか、コタ?」
「アイス美味い! って言ったの」
「そう、良かった。さっさと食べて帰らないと、士郎の機嫌が悪くなるぞ」
「分かってるよ」

 帰り道に買ったアイスを、家の近くの公園で二人で交互に食べる。どうやら小太郎の中ではまだ、先ほどの『ズルい』が後を引いているらしい。
 わざとらしく話題を変えれば、少々不貞腐れながらもアイスにスプーンを突き立てた。

 士郎というのは言うまでも無く我が家の四男だ。家の仕事を一手に引き受けてくれている士郎は、小学生から高校生までが通う、この街唯一の学校でもある施設が運営している幼稚園で先生をしている。
 僕も小太郎も、士郎の作るご飯で育った。爺さんは数年前に亡くなったし、父さんは定年後、母さんと約束をしていたのだと言って、写真を手に日本中を旅して回っている。
 他の兄貴達はといえば、二男の次郎と三男の三汰が人間界で暮らしていて、長男の太郎は嫁さんをもらって独立した。半年ほど前に甥っ子と姪っ子が生まれたばかりだ。
 僕は、一度は人間界に出たけれど、この閉塞的な集落へと戻ってきた。
『人間界も悪くは無いけど、僕はここの方が好き。こっちにはコタもいるしね』
 こちらに戻って来た僕を勿体無いと責める小太郎に告げた言葉。その言葉に嘘は無い。嘘は無いけれど、隠していることは、ある。



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◆いつも応援ありがとうございます(*´∀`*)

次話かその次辺りで、お相手登場させることが出来るかな?
のんびり更新ですみません;;
そして今週末はRinkさんが宮城へ遊びに来てくれることになっているので
悪友Bと共に観光案内して参ります!
次回の更新は週が明けてからになると思います〜。

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【虎が愛でし一輪の花】 comments(0) trackbacks(0)
虎が愛でし一輪の花(4)
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 断っておくけど、僕は心から小太郎のことを大切に想っている。たった一人の、僕の片割れ。一緒に生まれて来た、大事な分身。
 それでも、言えることと言えないことがあるんだ。

「……んっ」
「ん?」
「ゴローちゃん、もっと食って。残り全部一人で食ったら、お腹壊しそう」
「だからシングルにしろって言ったのに」
「だって、チョコもストロベリーも食べたかったんだもん」

 ぼんやりと夕闇の迫る空を見上げていた僕の目の前に、食べ掛けのアイスが差し出される。オネダリに応えて買ってやったっていうのに、やっぱりか。自分の分は買わなくて正解だった。
 押し付けられたアイスを仕方ないなと受け取ると、小太郎が不意に自分の頭をこてんと僕の肩に預けて来た。

「どうした?」
「んー……オレさ、ゴローちゃんのこと大好きだよ」
「コタ――――ありがと、僕も大好きだよ」

 ああそうか、お前には気付かれていたんだな。
多分これは僕ら二人にしか分からない感覚なのだろう。普通に振る舞っているつもりでいても、お互いに感情の起伏を顕著に感じ取ってしまう。
 公園まで来たところで再び出していた小太郎の耳が、ぴくぴくと動いて僕の頬を擽る。つい先ほど出したばかりの僕の耳も、小太郎の動きに合わせて動き出す。下を向いたままだった尻尾も緩やかに揺り動かせば、小太郎の尻尾も嬉しげにパタパタと揺れた。

 ごめんな、コタ。また気を遣わせちゃったよな。
 きっと小太郎には知られているんだろう。時々携帯電話を取り出して、中に納められている写真を見ていることを。
 ごめんな、コタ。お前は僕の中の黒い感情にも気付いているんだろう。
 きっと小太郎には知られている。時折交わしていたあの人との電話の連絡が、途絶えていることを。



 僕が人間界で暮らし始めて少しした頃、長男の太郎の結婚が決まった。当然僕は、同居するものだとばかり思っていたから、太郎から連絡が来た時には動揺を隠せなかった。

「どうして? 一緒に住めば良いじゃないか、部屋だって余ってるのに」
『小太郎は気にしないかもしれんが、士郎が気を遣うだろう? 嫁さんも兄弟達も、俺にとっては大切なんだ……互いに気を遣ってぎくしゃくするより、スープの冷めない距離の方が上手くやっていけると思うんだ……すまん、吾郎』
「っ……直ぐには、無理だよ」

 僕にも始めたばかりの仕事があった。離れたくない相手もいた。それでも、太郎が家を出てしまえば、士郎と小太郎の二人だけの生活になってしまうと思えば、太郎の話に了承する以外の選択肢は無かった。仕事と家事で手一杯の士郎だけじゃ、目を離すと無茶ばかりする小太郎にまで気を回すことは難しいだろうから。

「何かあったのか?」
「琥珀……僕、あっちに、戻らなくちゃならないみたいだ」
「え?」
「どうして? 僕はいつまで良い子でいなくちゃならないの? いつもいつも、何でコタに振り回されなくちゃいけないんだよ!」

 一緒に暮らす部屋のリビングで、ソファにすっぽりと埋もれていた僕を、伸びて来た腕があやすように抱き締める。逞しい胸元に縋り付きながら涙を零し、安心出来る匂いに包まれて、思わず気持ちまで緩んでしまった。言っちゃいけない言葉まで、口から飛び出てしまったんだ。
 そう、これが僕の黒い気持ち。小太郎にだけは、絶対に知られたくはない僕の秘密。
 小太郎のことは大切で、大好きなのに。
 そう想う気持ちと同じくらい、時々どうしようもなく憎くなってしまう。小太郎と双子っていうだけで、どうして僕だけがいつも我慢しなくちゃならないのかと、口惜しさに押し潰されそうになってしまうんだ。

「なあ吾郎、本当に嫌なら断れば良い。それが出来ないのは、お前だってコタを愛しているからなんだろう?」
「だけどっ、そう、だけど……やっと、やっと……琥珀は嫌じゃないの? 僕がいなくても寂しくないの?」
「――お前が決めたことなら、俺は反対しないさ。コタだっていつまでも子供じゃない。少しの間の我慢だろう? 俺はここで、お前が帰って来るのを待ってるから」

 頭じゃ理解出来ていても、心が付いて行かずに喚く僕を、琥珀は時間を掛けて宥めてくれた。山牙琥珀(サンガ コハク)、僕らの幼馴染で、僕の恋人。
 小太郎に対して抱いている気持ちも分かってくれる彼がいなければ、僕は自分がどうなっていたか分からない。家族にも隠し続けている心を許して、甘えている自覚はある。
 小太郎とは違うベクトルで、大好きで、大切な人。



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◆いつも応援ありがとうございます(*´∀`*)

週末は急な雨にも降られましたが(Rinkさんがいたのにも拘らず!)
皆さん楽しんで頂けたようで、ホスト役としてホッとしてます(*^^*)
来週辺りからまたボチボチ忙しくなって来そうなので
ようやく始めた連載が途切れないように頑張らねば!

続きを待ってるよ!と仰って下さる優しいお方は是非クリックを┏○ペコ
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