オリジナルのBL小説を、気の向くままに綴っております。個人的趣味嗜好ですので、誹謗中傷は受け付けておりません。
ご賛同&ご理解頂ける大人の方のみお立ち寄り下さい。
また、小説内の表現のひとつとして、性的描写等も出て参りますので、閲覧は自己責任にてお願い致します。
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黒猫と恋をしよう 【目次】
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【 黒猫と恋をしよう 】 (2011.9.05〜11.30)
   「Family…幸せになろうよ」番外

 ★小沢雄大 (オザワユウダイ)×相模多紀 (サガミタキ) (コック×ツンデレ大学生)
   恋した事は数あるけれど、今度の恋は一味違う?
   ツン多目な年下相手に四苦八苦。けれどツンには理由があるようで。
   いつもとは勝手の違う恋模様に戸惑う、雄大の恋の行方は?


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  78(☆☆) / 79(☆☆) / 80



■□■ 関連作品 ■□■

* 黒猫とチョコレート (2012VD企画 短編 2012.2.12〜2.16 up)
  二人、初めてのバレンタインは、甘く溶けて 
   (1) / (2) / (3) / (4) / (5)

* 猫の丸まる場所 (2012WD企画おまけSS 2012.3.16up)

* ミルキィウェイを飛び越えて (2012七夕企画SS 2012.7.7up)

* ゆく年くる年 (2012年末ご挨拶SS 2012.12.31up)

* 黒猫の休息 (2013.2.22 にゃんにゃんにゃん企画SS)

* 黒猫の嫁入り (2013.03.05 J庭34企画ペーパーSS)

* 黒猫は幸せに蕩ける (2014.01.04 お年始SS)

* 幸せのカタチ (2014.02.27〜03.07)
  年始に二人揃っての初めての里帰り。けれどそれにはある目的が。
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【 黒猫と恋をしよう 】 comments(0) -
黒猫と恋をしよう (1)
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下積み時代の料理人の一日は多忙を極める。
朝は誰より早く出勤し、当日でなければ出来ない仕込みに追われながらの開店準備。
逐一レシピを教えてくれるような先輩などいるはずはなく、洗い場に回された鍋に残るソースから味を覚え、洗い物と下準備をこなしながら調理過程を目で盗む。
合間にまかない用の飯を作り、先輩達が帰った後にも、待ってはくれない翌日以降の仕込みを行う。
朝早くから夜遅くまで、体力勝負の職場環境。夏も冬も関係なく、汗だくになりながらの毎日の仕事。

「ふぅ……もうこんな時間かよ。今日は帰るか――――」

付け合せに使うグラッセ用の人参を、馬鹿でかいボウルへと次々放り込み、一山になったところで時計を見れば、既に時刻は23時近く。
ずっと同じ体勢を取っていた事で凝り固まった肩を解しながら、小沢雄大(オザワユウダイ)が立ち上がる。
切り屑をまとめてゴミ箱へと投げ入れ、店の裏手にあるゴミ捨て場へと出しに向かう。

こんな毎日も既に5年目。
いい加減身体はこのリズムに慣れて来たとはいえ、週末の忙しさはさすがに堪える。

父の知り合いがグランシェフをしているこの店に、雄大が修行の名目で働き出したのは、高校を卒業した年の春だった。
二十歳を過ぎた頃から、客に出す料理も少しずつ作らせてもらえるようになり、それなりに日々は充実していた。
仕事面においては、と注釈が付くのだけれど。

覚える事が多過ぎて、仕事に就いてから出来た恋人達には、寂しい思いをさせてしまったという自覚は、雄大自身も持ってはいる。
けれど付き合って来た歴代の恋人から、決まって言われる似たような別れ際の台詞には、正直またかと溜息も吐きたくなるというもので。

『雄大は仕事が一番だもんね』
『本気だって言われても、信じられないよ』
『雄大の都合にばかり合わせるの、疲れちゃった』

毎日朝から晩までくたくたになる位働いているのだ。
帰宅したら連絡をと思ってはいても、実際家に帰り着けば、疲れ果てた身体は休息を欲してしまうのも当然の事。
愛情が無かったわけではない。
雄大なりにきちんと『好き』だという想いを抱いて、向き合ってきたつもりである。けれどそれらの想いは、行動として表すに至らないせいか、どうしても伝わり辛いらしい。
早い時には数週間、今回は長く続いていると思っても、一年足らずで破局の時は訪れてしまう。

『もう終わりにしよう』

付き合っていた恋人から、そんな言葉を掛けられたのは、つい数日前の事だった。
元来追うより追われろの恋愛スタンスを持つ雄大は、今回もあっさりとその言葉に頷きを返した。

『ほら、結局その程度の本気なんだよね。引き止めようともしないんだから』

何度聞いたか分からないその言葉を思い出し、ゴミを出そうと裏口扉に手を掛けた雄大の眉が寄った。

「その程度って、どの程度だよ……本気で好きなら、駆け引きなんかしてんじゃねえよ」

先日の気まずいひと時が頭を過ぎり、小さく舌打ちをしながら外へと出る。
腐った気分を一人で持て余すより、久々に兄の店にでも飲みに行こうかと考えながら、所定の場所にゴミを出し終えた時だった。

「ん? 何だ?」

店に戻りかけた雄大の耳に届いた、小さな物音。
入り口のある表通りとは違い、裏通りの細い路地である。申し訳程度にしか街灯も無い薄暗い通りの奥の方から、聞こえてくる音。

「止め――――ッ、放せ!」
「減るもんじゃ無いし、ちょっと気持ちいい事するだけだって」
「イヤだっ、止めろよっ」

面倒な場面に遭遇してしまったと思いながらも、雄大の性格的には見て見ぬふりも出来なかった。

「オイッ! 合意のようには見えねえけど、警察呼ぶか?」
「……チッ」
「あっ、こら待て!」

今出したばかりの、水色の大きなゴミバケツを蹴り上げる。響いた音に驚いたのか、嫌がる相手に襲い掛かっていた男が、近付く雄大を押し退ける格好で、走り去って行った。



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◆いつも応援ありがとうございます゜+.゜.(⊃Д`*)゜+.゜

本日から始まりました新連載。
Family…で、由高の唯一の友人として登場した雄大に
スポットを当てたお話になります。
前作同様、お付き合い頂けましたら幸いです(*´∀`*)  
仕方ないから付き合ってやるよ! のお言葉変わりに┏O))
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【 黒猫と恋をしよう 】 comments(7) -
黒猫と恋をしよう (2)
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表通りの雑踏の中へと逃げて行く男の背を睨み付けて見送ると、雄大が一歩を踏み出した。

「おい、大丈夫か?」

暗い路地の片隅で身体を震わせる人物に、声を掛けながら近付く。
蹲りながら膝を抱えていたのは、高校生と思しき制服を着た一人の男。遠目からは暗さのせいで表情までは窺えなかったけれど、近寄れば綺麗な顔立ちをしているのが分かる。

「立てるか、ボウズ?」
「……あ、あんなやつ、オレ一人でも追っ払えたんだ」

しゃがみ込んで目線を合わせた雄大を前に、まだあどけなさを残した少年がぷいと顔を背けた。

(何だこいつ、可愛くねえな)

抱きかかえられた鞄が、抱き締める腕の強さに歪んでいた。
未だ全身は小刻みに震えを刻んでいるというのに、助けられた事への礼を述べられるどころか悪態を吐かれ、雄大の眉が微かに寄った。

「……ああそう。余計な事して悪かったな。ホラ、取り敢えずこっち、中入れ」
「ちょッ、何すんだよ!」

肩を抱かれ無理矢理立ち上がらせられた少年が、上半身を捩って雄大から逃げようとする。男に襲われたばかりの少年にとっては、自分もまた恐怖の対象なのかと、雄大の口から小さな溜息が零れた。

「いいから大人しくついて来い。腰抜けてんだろ? このままここにいたら、さっきのヤツが戻って来ないとも限らないからな」
「うっ――――くそッ」

駄目押しの言葉に一瞬身体をビクつかせた少年が、渋々と力の抜けた身体を雄大に預ける。そんな彼を引き摺るようにしながら、雄大は店の裏口を潜り、厨房へと彼を連れ込んだ。

「ここに座ってろ」

先ほどまで自分が座って仕込みをしていた、安っぽい円座の椅子に少年を座らせ、雄大は業務用の冷蔵庫を開けた。
磨いて片付けたばかりの小鍋を取り出し、冷蔵庫から出して来た牛乳を火にかける。ついでに少しばかり蜂蜜を垂らす。
5分もせずに完成したホットミルクを少年の前へと置いた雄大は、顎先で飲めと指し示し、使い終えた鍋を再び洗いに掛かった。

「……いただきます」
「火傷すんなよ」
「そんな子供じゃない! っ、熱ッ」

十分子供だよと心の内で思いながら、そっと笑いを噛み殺す雄大の耳に、温かいミルクを嚥下した少年の、ホッとした吐息が聞こえて来た。

「少しは落ち着いたか?」
「……うん」
「この辺は夜になると危ないヤツが出てくるからな……少なくても制服で歩いてちゃ絡まれるぞ。特にお前みたいなタイプはな」
「煩いな、分かってるよそんな事。今日は、たまたま、補習で遅くなっただけで」

本来厨房では厳禁な煙草を口に銜え、雄大はようやく少年の顔をじっくりと眺めた。
薄闇の中で見た時よりも、整った顔立ちは魅力的に見えた。まだ華奢な骨格も、あと数年すればしっかりとしたものになるだろうと思えば、将来が楽しみだと言いたくなるような容姿。

「補習?」
「塾が、この先にあって……ちょっとぶつかっただけなんだ。なのにアイツ……」
「……まあ、夜道は気を付けろって事だな」
「普段はもっと上手くかわせるんだよ! あんたに助けられなくたって別にっ……第一オレは男なんだから、どいつもこいつも頭おかしいんだよ!」

貞操を奪われたく無けりゃな、と苦笑を浮かべた雄大に、初めて少年が視線を合わせて寄越した。

(でっけえ目してんな……何か、猫みてえ)

怒りを思い出したのか、僅かに潤んだ大きな瞳で睨み付けて来る少年の様は、まるで子猫が逆毛を立てて威嚇をしているようで。
真っ黒で流れるような、少し長めの髪が、小さな黒猫を連想させた。



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コメントへのお返事遅れていてすみません(汗
この数日ちょっと体調が思わしくなく(言い訳です、はい)
いつもの偏頭痛なのか風邪なのか……。
後ほどお返事させて頂きますので、少々お時間下さいませ〜。  
取り敢えず更新は頑張れよ! のお言葉変わりに┏O))
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【 黒猫と恋をしよう 】 comments(4) -
黒猫と恋をしよう (3)
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恐怖心を押し隠しながら必死で歯を剥き、対峙する相手を威嚇する子猫。
艶やかな黒髪と、小さな顔立ちの中に光る黒い瞳が、印象的だった。

「どいつもこいつもって……お前、ああいう事しょっ中あんのか?」
「っ、馬鹿にすんな! しょっ中なんてあるはずないだろ! まあ、たまに、痴漢には遭うけどさ……」
「痴漢――――」
「いつもはもっと、塾が終わる時間は早いんだ。でも補習で遅くなって……」

語尾だけを視線を逸らしながら告げた少年に、雄大が片眉を上げた。
言わなくても言い事を口にしてしまったとばかりに、少年はぼそぼそと言葉を続ける。

「中途半端な時間に電車乗ると、酔っ払いがぎゅうぎゅうで触られるし――――」

強がっては見せていても、実際は相当怖かったのだろう。喋り続ける事で先ほどの恐怖を忘れようとしているのか、時折下唇を噛み締めながら話し続ける少年の言葉を、雄大は黙って聞いていた。

「終電間際も混むから、間の時間を狙って時間潰してたのに」

こういう時、放っておいてやった方が良いタイプと、気持ちを吐き出し切るまで見守ってやった方が良いタイプがある事を、雄大は経験から知っている。

(由高の場合、下手に慰めたりしたら立ち直るのに時間掛かっただろうけど……)

以前にも似たような場面に遭遇したなと、雄大は古い記憶を呼び起こす。
中学時代クラスで、というよりも学年から一人浮いていた友人の顔を思い出す。あの時は今回よりももっと危ない状況だった。
資料室の狭い空間、教師に押し倒されている友人の姿を目にした時には、その教師を殴り付けてやろうかと本気で思った。自分が駆け付けるのがもう少し遅ければ、友人の心には一生消えることの無い大きな傷が残っただろう。

「こんな事ならさっさと帰っておけば良かった……」
「……その意見には賛成だ。あんまり帰りが遅いと、親だって心配すんだろ?」

悔しそうな声に反応を返した雄大の言葉に、少年はきゅっと眉を寄せた。

「心配してくれるような親は、いないし」
「は?」
「な、何でもないっ」

ぼそりと呟かれた言葉を聞き取る事が出来ずに聞き返せば、少年は首を横に振り、それきり口を閉ざしてしまった。

「ああいう時はさ、助けてー! なんて叫んでも、大抵のやつは見て見ない振りして通り過ぎて行くもんだ。覚えておけ、何かあった時は火事だって叫ぶか、泥棒っ! て大声出せ。絶対野次馬が集まってくるから、疚しい気持ち持ってるやつは逃げ出すからな」
「――――分かった、覚えておく……」

黙り込んでしまった少年を前に頭を掻いた雄大が、少しの茶目っ気を織り交ぜながら口角を持ち上げた。
突然何を言い出すのかと、一瞬きょとんとした表情を浮かべた少年は、雄大の言葉に、初めて笑みを浮かべた。

(お? 笑うと可愛い……って、相手はガキだっつの)

淫行罪で摑まるつもりかと自分を戒める雄大に、僅かに首を傾げた少年の目が、壁に掛けられている時計を捕らえた。

「あっ!」
「ん? 何だ?」
「終電……出ちゃった――――」
「はあ? マジかよ?」

急に椅子から立ち上がった少年が、呆然と呟きを漏らす。
少年が落ち着くまでと思っているうちに、どうやら大分時間が経っていたらしい。つられて時計に目をやれば、時刻は既に0時を回っていた。

「……ねえ、電話持ってる?」
「あるけど」
「貸して」
「お前ねえ、人に物を頼む時はそれなりの頼み方があんだろうが」

少しの時間逡巡していた少年が、ぶっきら棒に告げながら片手を雄大へと差し出す。
そんな様子に苦笑を浮かべつつ、雄大は目下にある黒髪の頭をくしゃりと撫でた。



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◆いつも応援ありがとうございます゜+.゜.(⊃Д`*)゜+.゜

今日中にはコメントのお返事書かせて頂きます!
お待たせしてすみません(_ _(--;(_ _(--; ペコペコ
頂いたコメントは全て拝見しておりますし、とても
励ましを頂いております:*:゜・☆ヾ(TωT。)了└|力"├♪
少年が誰なのか気になる! のお言葉変わりに┏O))
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雄大の行動に、少年はむずがるように頭を振る。

「な、何すんだよっ、子供じゃないって言っただろ!」
「くくっ、俺から見たら十分子供だよ。お前、名前は?」
「は?」
「俺は小沢雄大」

ここまで自己紹介すらせずにきたのに、懐かない野良猫のような少年に、雄大は興味を惹かれた。
突然の問い掛けに大きな瞳を更に見開く少年に、促すつもりで自らの名を告げる。

「……多紀」
「多紀? 苗字か?」
「苗字は……相模……そんな事より、電話貸してってば」
「はいはいっと」

雄大に顔を覗き込まれたことで、ぼそりと名を告げた少年の目元が薄っすら赤く染まった。どうやら人との交流には、あまり慣れていないらしい。
差し出した携帯へと恐る恐る手を伸ばした少年は、抱えていた鞄を漁ると、小さな手帳を取り出した。

「おっ、生徒手帳なんて久々に見るなあ。お前偉いな、俺なんて貰ってすぐに失くしたぜ」
「信じらんねえ。普通持ち歩くのが常識だろ?」

勝気な態度や言葉遣いとは違い、真っ黒な黒髪、しっかりと制服を着用し、更には生徒手帳まで持ち歩いている。
痴漢に遭いやすいという先ほどの言葉を思えば、ぶっきら棒な態度は、虚勢なのかもしれないと、雄大は多紀の行動を見守りながら思った。

「……あっ、もしもし! オレ、多紀」

雄大の見守る中、多紀は生徒手帳を覗き込みながら、そこに書いてあるらしい番号へと電話を掛け出した。携帯電話から漏れ聞こえてくるざわめきが、多紀のイメージとは合わないような気がする。

「うん、分かった。今から行く、うん、うん。じゃあ後で……ありがと」
「どういたしまして」

携帯を貸してもらった事への礼を述べた多紀に、雄大の口元に笑みが浮かぶ。
助けてもらった事への礼は、未だ口にしないというのに、こんな事にはきちんと礼を述べるのかと思えば、何となく微笑ましい気分になる。

「……ねぇ、ここの住所って、遠い?」
「んあ? えっと……遠くはねえけど、お前これ、ホストクラブの名刺じゃねえか!」

電話を掛ける為に取り出した生徒手帳を雄大へと向けた多紀から、そこにある住所を尋ねられた雄大は瞠目した。
手帳の中に挟み込まれていたのは、礼どうこうのイメージどころじゃなく、多紀とはかけ離れ過ぎた店名と源氏名と思しき名前。キラキラと輝く名刺が、堂々と生徒手帳に挟まれていた。

「……知り合いが働いてるんだ。理由話したら、タクシーで送ってくれるって」
「知り合い? 大丈夫なのか、そいつ?」

胡乱気に問う雄大に、多紀は唇を突き出した。何も知らないくせに言われたくないと、感情を隠す事無く表に出す。
明らかにムッとした表情を浮かべた多紀に肩を竦めながら、雄大が軽く侘びを入れた。

「ああ、悪い、悪かった。ここは……まあ、そんな遠くはねえけど……ちょっと怪しい場所にあるからなあ……乗りかかった舟だ、送ってってやるよ」
「え? いいよっ、地図書いてくれれば一人で――――」
「だから! 言ってるだろ? ちょっと危険なんだよ、特にお前みたいなタイプは」

腑に落ちないらしい多紀の頭をもうひと撫でした雄大が、多紀の使っていたカップを下げながら、帰り支度を始める。
雄大に怒鳴られた多紀は、仕方無しに大人しく待ちながら、普段は立ち入る事などない店の厨房を興味深げに眺めていた。

「お待たせ、行くぞ」
「あっ、待って!」

後をパタパタと付いてくる足音に、雄大の顔が自然と優しいものになる。毛を逆立てていた猫が、ほんの少しこちらへと寄って来たような、そんな嬉しさを感じていた。



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◆いつも応援ありがとうございます゜+.゜.(⊃Д`*)゜+.゜

体調不良で夕方まで寝込んでいました〜(;´Д`)
皆さまも季節の変わり目、体調にはお気をつけ下さいね。
次話ではゲストが登場します。
もう皆さまお気付きですね?(*´∀`*)
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